ぼっちスタンディングについて、弁護士さんにきいてみた


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ぼっちでスタンディングするのに、何か許可がいるの…?

スタンディングのときに、クレームを受けたらどうしたらいい…?

 

デモについての法規制の問題にくわしく、昨年、安保法制に反対する国会前抗議の見守り活動をしていらした竹内彰志弁護士に、知ってるようで意外と知らない、ぼっちスタンディングに対する規制の可能性について、お話をうかがいました。

 

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ノギィ デモに関係する法律としては、国の法律である道路交通法と、都道府県の定めた公安条例があって、それぞれにデモに際しては、許可が必要だとうかがっています。(デモについてはこちらの本:「デモ行こ!」河出書房新社、2011年がくわしいです)

 

竹内  政治的な意思表示は、憲法が「表現の自由」として保障するものです。したがって、デモを規制する法律である道路交通法も、都道府県公安条例も、表現の自由を最大限尊重するということが大前提となります。その上で申しますと、道路交通法によるデモ規制は、交通のさまたげになる行為を規制するのが目的です。一般的なデモのばあい、車道を練り歩いたりするのが普通なので、そのばあい事前に警察に道路使用許可申請をおこなうことになります。また、公安条例については、集団的な行動が暴徒化することを防ぐ目的で都道府県がそれぞれ定めています。条例があるところもないところもありますし、あっても文言も運用も都道府県ごとにまちまちです。

 

ノギィ スタンディングのばあい、そのような一般的なデモと同じように規制されるということはあるのでしょうか。選挙期間中でなくても政治家のかたなどが、駅前のコンコースや交差点などで、ひとりで演説(「辻立ち」というのでしょうか)しているのをみたことがあります。

 

竹内  私の知っているかぎり、政治家の普段の政治活動で、個々に届け出をしているというのは聞いたことがありませんし、通念からいっても交差点での演説をおこなう「辻立ち」などはデモとはいえないということでよいと思います。したがって、政治家が個人でやっている程度の政治活動かそれよりもおとなしい程度であれば、特に許可申請をしなくても、プラカードを掲げたり、それをもって歩いたり、スピーチをしたり、署名活動したりして基本的に問題ないという認識でよいでしょう。

 

ノギィ ただ、公安条例についてはその運用実態が都道府県によってばらばらまちまちとのことですので、少し心配なところもあります。

 

竹内  もしご心配なら、所轄の警察に聞いてみるということも一つの方法でしょう。ただ、警察もそのような問い合わせをあまり受けたことがないでしょうから、「どこどこの議員はこういうふうにやっていたが、それよりもおとなしい程度でやるが大丈夫か」というようにお聞きになるとよいでしょうね。

 

ノギィ それぞれが勝手にやっている「ぼっち」2人が、たまたま同じ場所でスタンディングしているばあい、これは個人の活動ということになるのでしょうか、それとも集団でやっているということになるのでしょうか。

 

竹内  交通の妨げになったりせず、あるいは乱暴な行動に発展しないかぎり、法律が規制する対象としての集団とまでは評価されないでしょう。2人で交通の妨げになることは通常考えられませんから、規制の対象にはならないといってよいでしょう。他方、「どこそこで何月何日にやりましょう」と呼びかけてかなりの人が集まったばあいは交通の妨げになりますから、集団とみなされやすいでしょう。これに対して、活動への入り方が別々で、たまたま同じ場所でスタンディングしているばあいは、基本的には別だということでよいと思います。

 

ノギィ トラブルを回避する方法についてお尋ねします。昨年(2015年)の国会前のものものしい機動隊の警備などを見聞きしていますと、節度ある態度でスタンディングしてるのに何かを言ってくる、ということがないとはいえないようにも思います。そのようなことがおこったばあい、どのようにすればよいでしょうか。

 

竹内  警察が介入するケースには、じつは法的根拠があるばあいだけでなく、ないばあいもあります。これまで問題なくできていたことについて突然「ダメ」と言われるようなばあいは、根拠がないといえます。納得できないばあいは、警察官には、どのような法的な根拠にもとづいて言っているのかをお尋ねになるのがよいでしょう。そのさい、後で「言った」「言わない」等の水掛け論になると困りますので、記録をとっておくとよいでしょう。また、警察官の所属先と名前も控えておきましょう。これらのことを尋ねることで、とがめられることはありません。

 

ノギィ 近隣のかたや通行人から苦情をいわれたり、からまれたりするようなばあいはどうすればよいでしょう。法的根拠とかそういうことは関係ない状況になるように思います。

 

竹内  そのような時は、一般的なトラブル回避のやり方にそって対処するのがよいでしょう。相手にせず少し場所を移すとか。いずれにせよ、トラブルに発展しては元も子もないという認識でいるのが安全でしょう。どちらのばあいについても、トラブルへの備えとして、弁護士その他とゆるくつながっておくとよいでしょう。

 

ノギィ そのほかに、スタンディングに際して気をつけておくべきことはありますか。

 

竹内  道路でない私有地で活動しないように気をつけて下さい。駅前は、銀行やお店などが多く、私有地で活動しているばあいに所有者管理者から注意を受けることがあります。また、駅のコンコースや通路も一見公道のように見えて私有地ということもあります。公道上であれば、上で述べてきたように、節度あるスタンディング程度であれば活動が規制されるということは通常ないと考えてよいでしょう。もし、まちがえて私有地に踏み込んで活動していて注意を受けることがあれば、速やかに退去するようにしましょう。事前に、活動しようとする場所が公道であるかどうかは、警察に問い合わせると教えてくれます。

 

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まとめると…(-_- )Φ by ノギィ

・    ぼっちがスタンディングするのに許可はいらない。

・    スタンディングは公道上で、通行人の妨げにならないように

・    節度あるスタンディングであれば、プラカード、署名活動、スピーチなども問題なし。「節度ある」がどの程度なのかは「辻立ちしている政治家」を基準に考えるとよい。

・    スタンディングの場所が「公道」であるか否か、不安なばあいは、警察に問い合わせると教えてくれる。

・    念のため、トラブルがあったばあいにそなえて、弁護士さんの連絡先をもっておくとよい。

 

お忙しいなか、こちらの拙い質問にも親身に丁重に答えてくださいました竹内さん…本当にありがとうございました。m(_ _)m

 

ビバ・ぼっち!!                                 

2016年3月6日

 

 

追記:どうやって弁護士さんとつながる?

先日、竹内弁護士からお話をうかがったとき、「なにかあったときのために、ゆるやかに弁護士のネットワークにつながっておくのがよいでしょう」というお話があったので、このあたりの事情を早稲田リーガルコモンズ法律事務所の河崎健一郎弁護士にお尋ねしてみました。
まず、トラブルがあった場合、電話で法律がどうのこうのという助言をしても解決にならないのが普通なのだそうです。弁護士自身が現場まで行って、身体を張るからこそ収まる。そのようなことができる弁護士は地元にしかいないだろう、とのことでした。
一番よい方法は、各地に安保関連法に反対の運動をしている弁護士がいるはずなので、その人と直接つながっておく(必要な時に電話ができるようにしておく)こと、とのことでした。
河崎さんによれば、不当逮捕のような緊急の状況に対して対応してくれるところとしては、「救援連絡センターが老舗」だそうです。また、ノギィが調べたところでは、ここは非共産党系で、共産党系としては「日本国民救援会」があるようです。ともに連絡先としておさえておかれるとよいかもしれません。
いずれにしても、身の安全は、ぼっちスタンディングにとってだいじな前提条件となりますので、じぶんの地元の弁護士さんの情報など、他のぼっちさんに拡散したい情報をお持ちの方は、DMでお寄せいただくか、拡散していただけるとたすかります。
 
2016年3月22日追記